2025/12/05
12月5日(金)の予約状況
今日の予約状況
赤坂は、どこかそわそわしていた。
バーの扉を開ければ、すでにいくつかの名前がカウンターに並び、
個室にもあたたかい灯りがともる予定になっている。
そして、いよいよ明日。
「東京ウイスキーフェスティバル」 が幕を開ける。
その前夜は、不思議と静かで、どこか高揚している。
まるで試験前の勉強のように、
あるいは遠足前の確認作業のように、
今日のラシュランには “予習の空気” が流れている。
――明日に備えて、
もう一度ウイスキーと向き合っておきたい。
そんな大人が、意外に多いのかもしれない。
「明日フェス行くから、今日は自由研究をしに来た」
そんな声が、夜に混じりそうな気がしている。
“復習”でもあり、“予習”でもある一杯。
フェスのパンフレットを確認しながら、
香りの記憶をそっと拾い直す時間。
12月最初の花金らしく、
ちょっとだけゆっくり、落ち着いた夜を楽しむのもいい。
カウンターは、おそらく 20時以降に席が空く
確実に席を押さえておきたい方は、
公式LINEか電話でひと言いただければ、必ずお迎えできる。
↓
【公式LINE】lin.ee/uS7CdK5
(登録特典あり🎁)
今日も、いつものカウンターで静かに灯りをともして、
あなたをお待ちしております
2025/12/04
インバーゴードン36年を飲んだ感想
インバーゴードン 36年
—宇宙列車に揺られるような、静かで長い甘さ—
グラスにそっと触れただけで、
甘さの輪郭がやわらかく浮き上がってくる。
まず来るのは “べっこう飴”。
懐かしさのある、あの黄金色の甘さがまっすぐ喉の奥に伸びていく。
そこからゆっくりと“わたあめ”がとけるようなニュアンス。
甘いのに軽い。
軽いのに残る。
まるで36年という時間が、砂時計の砂ではなく、
甘さそのものになって沈殿していったみたい。
49%とは思えないほど舐めらかで、
角が消えた液体は、ただただ静かに舌を流れていく。
「甘いウイスキーってどれ?」と聞かれたら、
間違いなくこのインバーゴードンを差し出す。
ロックでもいいけれど、
ストレートでゆっくり“時間の味”を確かめるのが一番いい。
ソーダにすると甘さがスッと後ろに引き、意外なくらい飲みやすさが増す。
これはこれで新しい表情。
36年熟成のグレーンは、ときに派手さを持たない。
だけどこのボトルは、
派手じゃないのに忘れられない “余韻の作品”。
やっぱりインバーゴードンは良い。
年を重ねるほど、甘さが哲学を帯びていく。
2025/12/02
2025/12/02(火)営業日誌
「自由研究と、夜の続き。」
12月に入った赤坂の夜は、少しだけ湿った静けさを連れてくる。
今日のカウンターは、顔馴染みの常連たちがゆったり腰を落ち着け、
まるで“宿題の続きを一緒にやる友人のように”会話が続いていた。
話題は池袋の家系ラーメンのランキング、
今年のウイスキーフェスティバルの思い出、
そして——八王子フェスで楽しみすぎて
チケットを買い逃したという笑い話。
行けなかった人も、行けた人も、
まるで同じ教室にいたかのように感想を交わす。
その光景を眺めながら、
「不参加でも、お客様のSNSで参加した気になればいいか」
と心の中でひっそり頷いた。
21時を過ぎた頃、扉がそっと開いた。
「さっきまで会社の飲み会だったんですけど……
一杯だけじゃ帰れないなって。通り道なので来ました!」
「実は部署が違うんですけど、飲み会で“お酒好き”が発覚して
2次会どこ行く?って話になって……連れてきました!」
ふたりの声が重なって、夜が少しだけ明るくなる。
カウンターと個室にお客様が入り、
赤坂の小さなバーはまたひとつ物語のページを開いた。
⸻
✦ 女子会のような会話が
「彼女、実はウイスキー集めてるんですよ!」
「でもここにあるの、見たことないボトルばっかり……
目移りしちゃいますね」
棚を眺める横顔が、子どものように無邪気だ。
「今日……自由研究プランにします!」
「えっ、自由研究?なにそれ、気になる!」
1杯目の説明をしながら、こちらまでワクワクしてしまう。
「……これ、5000円?安っ!!
7000円でも見たことありますけど、
この内容で5000円は聞いたことがない……」
「通いますね。ふたりでまた来る!
来週……空いてる日ありますか?」
女子のスケジュール確認は、
いつ見てもカウンターのどのボトルより速い。
「またプチ女子会しよ!
会社終わりじゃなくても行けるよね。
赤坂、開拓しない?」
そう言いながら、
ラーメン、チャーハン、カフェ……
“赤坂散歩の地図”を勝手に描き始めている。
⸻
✦ 最後に、ふと漏れたひとことが
今日いちばん胸に残った。
「ウイスキーって、面白いですね。
ピート……初めて知りました。
自由研究プランも“赤坂ニート・ハイボール”も、すごく楽しい。
……また教えてください!」
その言葉に応えるように、
風のない夜に静かに「ありがとうございました」と見送る。
扉が閉まると、
今日の物語がふっと一段落した。
⸻
✦ 次のページは、明日。
12月3日(水)
カウンターは🈳3席。
また新しい物語が
静かに、どこかでドアを開けようとしている。
⸻
2025/12/01
2025/12/01の営業日誌
12月の最初の月曜日。
扉を開けば、いつもの個室がすでに温まっていた。
常連のメンバーたちが並び、
今日はその上司まで連れてきてくれたという。
紹介が紹介を呼び、人が人を招く。
広告費ゼロの、静かで確かな広告塔たちだ。
「ここなら新人を連れてきて、飲み方も教えられるだろ」
そんな声が自然と出る空気。
個室が持つ“人数の伸びしろ”が今日も力を発揮した。
上司は最初の一杯をゆっくりと味わい、
「このハイボール、美味しいな……」
と静かに目を細める。
今日は“飲みやすい一杯”が心に触れたようだ。
ウイスキーの扉は、押すときよりも
そっと触れた瞬間に開くことがある。
⸻
そのあと、
カウンターにふらりと来られた別のお客様が
こう言った。
「実は、東京に来るたびに紹介したい店があって……
ここなんです」
個室が空くまで、しばしカウンターへ。
そのわずかな時間でさえ、
棚のアニメラベルに目を輝かせてくれていた。
「これ、エヴァのラベルですよね。
値段とか関係なく、ただ“好き”で置いてるのが伝わるなぁ。」
そう言って笑う横顔を見ながら、
“好きという熱”は距離を超えて届くものだと思った。
そして、個室が空くと、
「ああ、この落ち着きとゆったりとした空間。
ここで商談も、部署の飲み会も助けられましたよ」
と自然に口にしてくれた。
紹介してくれる人がいて、
その人がまた誰かを連れてくる。
こちらが宣伝する前に、
勝手に説明してくれる——
そんな時間が、今日も流れていた。
⸻
最後に、常連のひとりが言った。
「ここの PB ボトルもね、
甘いのとか、香り強めとか、伝えると選んでくれるんですよ。
私もう何杯も飲みました」
その言葉に、
信頼というものは“売る前”ではなく
“売った後”に積み重なるんだと改めて気づかされた。
⸻
静かな月曜日。
リピーターに支えられ、
温度のある時間に助けられた一日。
“赤坂ニート・ハイボール”も、
“ウイスキー自由研究”も、
まだ物語の途中。
ここから先、どんな世界まで届くのか。
12月2日(火)
予約はまだゼロ。
それでも、明日もまた
知らない誰かのドラマがカウンターの前で始まる気がする。
今日も静かに、明日を待つ。
⸻
2025/11/29
11月29日(土)の営業日誌
◆ 今日のハイライト──満席のカウンターで
今夜のカウンターは珍しくご予約だけで満席だった。
いくつかお断りしてしまったのは申し訳ないけれど、
それだけこの空間を求めてくれる人が増えたのだと思うと、胸の奥があたたかくなる。
「このあと予定があって…それまでここで飲んでいたくて」
「ずっと気になってたウイスキーを飲みに来ました」
そんな言葉を聞くたびに、
日々の発信が誰かの夜に届いていることを実感する。
自由研究のカウンターは、今日も静かに賑わっていた。
「秩父のイチローズモルトって、こんな味わいなんですね…」
驚いたような、嬉しそうな表情。
その瞬間を見られるだけで、この店を続けてよかったと思える。
そこへ、別のお客様。
「ウイスキー初心者の友人を連れてきました。
色々試して楽しんでもらえたらと思って…」
こういう“誰かを連れてきたい店”になったことが、
何より嬉しい。
そして始まった今日の研究テーマは「シェリー酒」。
オロロソ、ペドロヒメネス、フィノ、クリーム。
ウイスキーを育てる樽の“元の味”を辿る小さな旅。
「……え、これ好きです。
もうペドロヒメネス樽のウイスキーじゃなくて、
ペドロヒメネスそのものをボトルで欲しいかも…」
完全に扉が開いた時の顔だった。
ひとつの好奇心が、静かに世界を広げる瞬間。
「自分はクリームシェリーかな…これ美味しい」
そんな声も聞こえる。
ウイスキーだけじゃない。
その背景にある“物語”に触れた時、人はもっと自由になる。
夜も更けて、ふと懐かしい方が来店された。
話してみると、実に五年ぶりの再会だったという。
なのに不思議と“初めまして”のぎこちなさはない。
SNSのおかげで、時間の距離が曖昧になる──
そんな面白さも感じた。
スタンプラリーの参加者も来てくれた。
ただ無理はしてほしくないので、
先にスタンプだけ押してお渡しする。
「無理して飲まなくて大丈夫ですよ」と伝えると、
皆ほっとしたように笑う。
こういう優しい時間が、この店らしい。
気づけば、今週だけでカウンターに20名以上。
出会いが続くことは奇跡みたいで、でもそれが日常になっていくのがありがたい。
11/30(日)はお休みをいただきます。
また12月1日、
静かに灯るカウンターでお待ちしております。
⸻